アマゾンの小売業インパクトは皆が認めるところ。今やEコマースの雄として君臨しています。アマゾンが扱うアイテム数は膨大となり、独自のAIとクラウド・コンピューティング・パワーを駆使して、多くの小売業種を駆逐し影響力が減速する様子は見えません。
一方で、アマゾンのスタート時点に標的とした書店小売業にも、興味ある変化が起きています。 アマゾンが起業する以前に、スケール規模にてかつての書店小売業の形態を破壊し、大手にのし上がったバーンズ・アンド・ノーブルの経営変化です。 今年の8月に$683Mにてバーンズ&ノーブルを買収したエリオット・アドバイザーズが、英国の小売書店ウオーターストーンズ・チェーンを倒産危機から2011年に救済したジェームス・ドーントを、CEOとしてバーンズ&ノーブルに派遣したというニュースに興味が湧きました。
というのは、ドーント氏の英国ウオーターストーンズ・チェインを救済した手法と思考原点こそが、アマゾンに対抗できる戦略ではないかと思うからです。 アマゾンは、過去の顧客購買パターンからAIを駆使し購買候補を推薦し、顧客購買処理を簡易化し、リターン経費や送料を最小化し、さらに購買者の選択に預けるというEコマース・モデルです。 このモデルの欠陥は、書物を購買する側にはエキサイティングなタイトル書物を新規発掘する要素が乏しいというのが、ドーント氏の見識です。 英国ウオーターストーンズ・チェイン救済した大きな手法は、個別店舗に揃える書物在庫選択を書店スタッフに任せ、個別店舗スタッフメンバーが推薦する書物を在庫することで、地域に根ざした恰も個人書店の如くにユニークで魅力ある店舗に改善した手法です。
米国でも、英国同様、コープ・システムと言う、出版社主導の書店棚在庫方式が主流です。 出版社への返却処理に書店スタッフの時間と経費が取られており、バーンズ・アンド・ノーブルはこのリターン率が多分25%近くあると言われています。 売れない書物の無駄な返却業務の代わりに、店舗スタッフが自ら選んだ推薦書物を、独自の判断にて店舗展示デザインする。
現在、米国の書店売り上げは、アマゾンの市場シェア50%に対して、バーンズ&ノーブルの市場シェアは8%程と言われています。 確かに、バーンズ&ノーブル店舗は、CDあり、雑貨トイありで、エキサイティングな書物との出会いに興奮する要素が見つかりません。 ドーント氏がどんな経営手腕を発揮するのか、楽しみですが、バーンズ&ノーブル救済再建するには、過去3年で約400店舗を閉鎖したとはいえ、まだ600を超える店舗を持つ同社店舗の更なる閉鎖収束が必要なのは明らか。 しかし、再建には、アマゾンがオファーできないローカル色をもった魅力ある書物を並べる、本好きの顧客が長居したくなる店舗ブランド戦略をEコマースと組み合わせてどう展開するのか、大変興味があります。
顧客のブランド体験を、巨人アマゾンが提供できないユニークなローカル領域にてオファーすること。 書店小売業以外にも当てはまります。
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