トヨタ・ブランドはFTトップ100リスト2019の41位を占めるブランド。米国内でも存在感のある商業ブランドとしての地位を築き上げてきた。 加州を足場にクリーン・エネルギーにフォーカスしたプリウス・ブランド・マーケティングを元に、見事に米国社会に貢献する企業ブランドとした日本企業のお手本であるカーメーカと思われてきた。
ところが、昨日10月30日に、GM、クライスラーと共に、燃料廃棄規制弱体化を進めるトランプ政権の規制連邦一本化に賛成する政治的判断を下した。 今月初めにフォード、ホンダ、VW、BMWの4社が加州燃料廃棄規制を指示する声明を発表したのと正反対の声明である。 トランプ政権の脅しに屈したトヨタのブランドへのネガティヴ・インパクトは、GM、クライスラーに比べ大変大きいと思う次第です。
米国生産と米国雇用創生を元に、数年前にテキサス州に米国本社と製造工場を移しメイド・イン・USを掲げ米国企業の顔を全面に出したトヨタの米国戦略は、加州のプリウス・ファン消費者への背信行為と映る。 本日10月31日のNYタイムスでも、トヨタのトランプ寄り政治的企業判断は、プリウスの成功を熱狂的にサポートし、プリウス・ブランド成功のドライバーとなった加州トヨタ車ユーザーから批判の声が多くあると、報じている。 今所有のプリウスを売り払い、ホンダに買い換えるとの過激なユーザー声もあるよう。
オバマ政権の大きな金字塔の一つと言われている2025年54.5MPG達成目標のフエル・エコノミー燃料廃棄規制は、加州政府・連邦環境保護エージェンシーEPA・連邦運輸省3団体と、外国ブランドを含む米国車メーカをも加えた官産合意であった。 これをはじめオバマ政権の成果を全て殺しにかかるのがトランプの公約であるからして驚かないにしても、カーメーカーに取っても既に合意した次期モデルの開発ブループリントと思っていた。 特に、プリウスからハイブリッド・EVへも先頭群に属し業界・消費者を牽引すると思っていたトヨタである。
短期的な現政権政策への反環境への安易な支持声明は、ユーザーが求める長期的な欲望と、社会・環境持続維持を求めるべきモビリティ企業としての自覚が見えなく、大変残念に思う。 トヨタは大きな戦略マーケティングの間違いを犯しているように思えてならない。
セダンからスポーツ・ユーリティへのシフトが著しい米国マーケットで、同時にクリーン・エナジーを求めるミレニアル世代や加州はじめ環境フレンドリーを願うユーザーから、トヨタが今後どんな評価を受けるのか興味あるところ。
Got Strategic Marketing?