51. ナッツ無しのナッツ・コーヒー

1926に生まれたNY生まれのブランド、チョック・フル・オ・ナッツは名前で推測できるように、ナッツのブランドだった。そもそも、NYCの43丁目ブロードウェイに面した小さなスタンド店舗は、大家であった同じビルのジェネラル・ストアが扱う商品は扱えないという店舗賃貸契約のため、扱えるのはナッツだけだったところからスタートした。

1932に大恐慌のせいで商売上がらず、ロースティング・マシーンが不稼働余剰資産となったのを契機にコーヒーを煎るために再利用して、コーヒーとナッツを提供するビジネスに変身し店舗数を拡大した。1950代にはニューヨーカー達に人気を集めるブランドとなった。

1962から始めた有名なコマーシャル・ソング・キャンペーンで、メロディーを聞けば誰もがすぐ分かるコーヒー・ブランドとなった。ロックフェラーでも買えない、天国のようなコーヒー・ブレンドのキャッチ・フレーズで、NY生まれのブランドとなった。ブランド名にナッツの名前を残したまま、コーヒー・ブランドとして有名になった。然も、米国東部地区を中心にマーケティングしていた。コーヒー缶は、イエロー・キャブの黄色と、一目でNYの摩天楼とわかる風景がデザインされている。

11/27/17付けNYタイムズによると、今、このブランドをオマハやオクラホマ・シティーのようなミシシッピーの西側を超えてナショナル展開する際、ナッツが入っているとの誤解を招き、拡販が思うようにはいかないらしい。というのも、コーヒー消費量は増加をしているが、最近はナッツを混ぜたコーヒー離れの嗜好変化があり、「ノー・ナッツ」と大きな表示でナッツは入っていませんと缶に明示し、100%プレミア・コーヒーのロゴを大きく付けざる得なくなり、缶デザインをし直した、との記事であった。

90年を超える有名ブランドでさえ、名前自体に誤解を与える言葉は使えないよねと、痛感しつつ、微笑ましくこの記事を楽しく読ませてもらった。

これで思い出したのは、日本の味にもなっているカルピスのブランド名。これは、英語圏では使えない。当地ではカルピコとブランドを変えている。

ある特定地域でマーケティングする際は有名ブランドと言えども、ローカル視点、異文化と最新ユーザー志向対応が米国内でも必要となると云う、教訓。

歴史の長いレガシー・ブランドであればあるほど、顧客嗜好にあわせて変身を遂げているもの。成長戦略には、ブランドのポジショニング変化のインパクト検証が必要ですね。

貴方なら、ナッツ無しのこのブランドをどうします。

Got Strategic Marketing?

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