米国は今、揺れに揺れている。トランプ政権は7ヶ月目に入ったばかりなのに崩壊寸前である。米国経済界がトランプに見切りをつけた。
理由は、南部ヴァージニア州シャーロッツビルにある南北戦争にて南部連合のリーダーであったリー将軍の銅像撤去に反対するネオ・ナチを含む白人至上主義者と反対派がデモにて暴力行使してもみあった後、白人至上主義者の青年が反対派デモ集団に車を突入衝突させ一人の死者を出すまでにいたった事件が発端である。この事件をトランプの「双方に非あり」との発言をめぐり、ネオ・ナチ、白人至上主義者と、ユダヤ人・黒人を始めとする公民権を尊重するするリベラル派を同一視したトランプに世論が非難した。米国社会のモラルを代弁すべき大統領が、白人至上主義者を批判せずに反対に擁護する発言を更に続け、大統領不信の嵐が吹き荒れている。事態は深刻である。
米国の奴隷制度を擁護した暗い歴史はまだ続いている。黒人の不幸な環境と差別は深いものがある。暗い影はまだ消えず、傷はとても深い。この夏、ニューワークやデトロイトで起きた黒人暴動が起きた50周年を迎えて当時の様子を垣間見る催しや報道コラムで勉強する機会があったが、奴隷制度、南北戦争の傷跡は消えていないとつくづく感じている。
トランプ就任後二つの大統領助言機関である19名構成の戦略政策評議会と28名構成の米国製造業評議会は共に米大企業CEOが大分を占める。過去たった2回のみトランプと会議を持ち、経済界よりの政策に助言をあたえる助言機関として鳴り物入りで立ち上げた評議会からトランプの発言に不満と訴え次々と辞表を提出すCEO委員を出し、事件後二日で解散となった。
最初に公に評議会委員の辞表を出したのは、ニュージャージー州に本社を持つ大手製薬会社メルクのCEOケニース・フレージャーである。本人はハーバート・ロースクール出身の弁護士でもあるトップ・クラスの経営者である。ダウ工業指標の30銘柄に入るメルクという米国トップ企業のCEOとして、更に数少ない黒人トップ経営者の一人としてフレージャーはトランプ発言の翌日、どの製造業評議会委員よりも、他の大手企業の経営者よりも先に委員辞表を提出した。最初に辞表を出したフレージャーが率いるメルクは立派なリーダーを持つ優良企業です。
株価への影響、株主へのメッセージ、顧客からの起こりうる不買プレシャー、従業員へのモラル、サプライ・チェインへのメッセージ等を考慮すれば、企業リーダーとして譲ってはならない社会貢献を最終目標とするモラル観点からして、委員辞表は誰にでも出来る決断と決めつけるのは容易である。
フレージャーに追従した評議会の委員達。または今もってトランプ発言を公に批判しないでいるCEO委員達。個人判断にて辞表委員が次々と出ていく醜態を避け、集団にて評議会解散に圧力を掛けたと言われるブラック・ストーンのユダヤ系スティーブ・シュワーツマン。
どのタイミングにて大統領と向かい合い本音か否かは別にして、譲れないモラルのメーセージ伝達に現れるCEO決断個性の差を報道を通じて興味深く見ていました。
譲れないコア・ミッション、戦略の選択、マーケティングのタイミング、これら全てを経営者が責任をもってタイムリーに行動に移すことの重要さを改めて感じ取った次第です。
あなたの組織ならどうしたでしょうか。どうすべきでしょう。
Got Strategic Marketing?