34. クリーン・ディーゼルの終焉

排気ガス中の有害物質量を認定試験前にコントロールするソフト開発とその隠蔽活動をしたとして, 2014に発覚した排ガス不正事件で VWは2015に米国司法省より最大罰金を科せられた。その後も経営幹部の関与まで広がり処罰を受けた。最近の報道によれば、この排ガス不正はVWだけの話に止まらず、欧州車他メーカーも同様にソフト偽細工・隠蔽に関与していたらしい。VW経営責任を超え、ドイツ首相のアンジェラ・マーケルまで責任を追及されるとの報道もある。

そもそも、クリーン・ディーゼル車は、技術的には矛盾したマーケティング・メッセージだった。エンジン効率とCO2排出に関してはガソリン車に比べて優れているディーゼル・エンジンにはNOX排出が避けられない欠点がある事は周知の事実だったにも関わらず、この欠点には触れずにヨーロッパ車はVWに右習えでディーゼル技術をクリーン・ディーゼルとしてプロモートしていた事になる。

ヨーロッパ各国は連合して、北海油田からの原油の精製能力の不足を補うため、ディーゼル価格をガソリン価格より戦略的に安値に設置し、一体となってクリーン・ディーゼルのマーケティングを進めてきた訳である。

1990代に北米市場でダーティ・ディーゼルと烙印を押され、ヨーロッパ車のディーゼル技術は米国で大失敗した経歴がある。ガソリン価格がガロン$4を超えた時期を境に、エンジン効率に優れるディーゼル技術をクリーン・ディーゼルを全面に出したマーケティングを押し進め、米国市場再エントリし再生したかに見えた。米車・日本車もディーゼル・モデルも追加する事例も出始めた矢先であった。

ディーゼル車販売は欧州では全販売の半分近くを占めるが、ディーゼル車の先月6月の販売数は一割近く落ち込んだという記事も目にした。児童喘息患者数とNOX有害ガスとの関連は医学会では科学事実として明白であり、マドリッドやミュンヘンを始めディーゼル車の市街乗り入れを拒否すると宣言するの欧州都市も出始めた故の、NYタイムズの昨日7/26/17の記事も出る始末である。ディーゼル車はこれを契機に終焉に向かう事は間違いない。

このクリーン・ディーゼル・マーケティングの失敗教訓から学ぶ事は、顧客視点価値には環境・社会コストを含んだ総合社会価値を含むのを忘れてはならない事である。そもそも、社会・環境に害を与える製品・サービスを前提とする事に間違いがあり、害を与える技術に立脚したオファーに持続可能な価値はない。クリーン石炭やクリーン原発も同じ類である。スタートのポジショニングに大きな欠陥がある訳です。

マーケティング戦略を立案・実践しようにも、社会・環境・健康の改善に本当に貢献する製品・サービス・技術でない限り、顧客にとっては大前提となる社会価値を生まず、反対にマイナス要因となる事を肝に銘じたい。

あなたの組織の事業ポジショニングにクリーン・ディーゼルに似た大欠陥を背負った戦略事例があるかも知れませんよ。

Got Strategic Marketing?

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