本日7/17/17のNYタイムズのビジネス版に、ジレットが18歳の誕生日を迎えた男性向けに無料で宅配した髭剃り替え刃キットが、間違って50歳の女性やヤングの女性に間違って送られたという、記事が載っていた。同日のWSJでは、アクティビスト投資ファンドのトライアンがP&Gの取締会役員11席の内の一席を求めプロキシ宣戦した故の記事を同時に目にした。
ジレットと言えば優等生企業P&Gの髭剃り・替え刃事業で世界ダントツの優良ブランド。過去十数年替え刃の数が増える度に、この巨人に関するマスコミ記事が報じられる。第2位のシック替え刃がこの業界覇者に何回となく挑戦してもダントツ1位の座はビクともしない。しかも、P&Gの売り上げの11$を占める当ジレット事業部門は営業利益では15%を稼ぐ優等生。P&G全体のオーガニック売り上げ増は最新四半期前年比較たったの1%増。2025までに$10Bの経費削減計画を公表したにも関わらず、利益率が伸び悩み、アクティビスト投資家からは厳しい圧力をかけられている。
ジレットの剃刀替え刃事業にも批判が集まりつつある。過去数年はオンライン特化した廉価競合がミレニアル世代に集中しマーケティングをかけオンライン会員モデルを基に少しずつ人気を得て少しずつではあるが牙城を崩し始め、シェアを奪いつつある。ジレットが将来の顧客ミレニアルとオンラインにてどのように対応するか、何度となく報じられている。
マーケティングでは米国トップグループとの名声を誇るP&Gにして、「真の男世界にようこそ」キャンペーンにて無料で配った18歳男性の誕生日のデータ・ベースに50歳の女性や若い女性の名前が間違って入っていた等の話は、顧客のディジタル・フットプリントの全てをデータ・ベース化するディジタル・マーケティングの落とし穴を顕著化させた。というのも、受け取った女性たちのオンライン・サーチの履歴や嗜好、男女を混同しやすい名前等をベースにヂジタル・サーチされた顧客情報が使われ、数からすれば多分僅かであろう間違って「真の男世界にようこそ」キットを贈られた女性たちがソーシャル・メディアにて面白おかしく批判し、その話が次々とソーシャルメディアでニュースとなってしまう怖さを教えてくれます。
そもそも、誰もが批判する高額な替え刃モデルが長年批判されながらもトップシェアを誇るジレット。それに挑戦したダラー・シェイブ・クラブやハリーズの替え刃オンライン・会員廉価モデルのスタート・アップ。まさにゴリアスとデーヴィッドの戦いですね。
「真の男世界にようこそ」キャンペーンのジレットの失敗の教訓から学ぶべき事。ゴリアス巨人のジレットのアキレス腱はデジタルとソーシャル・メディアと言うのは、間違いではないでしょう。あとは、スーパー小売店舗での占棚ベースの高価な替え刃モデルに消費者が、ミレニアル志向に同調するのにあと何年、何十年かかるかでしょうね。 アマゾンもどんどん影響力を増してきますし、とても興味あるケース・スタディですね。
あなたがジレットの事業責任者なら、まず何から手を打ちますか。
Got Strategic Marketing?